現在
Webinar 視聴中:
"Multi-Outcome Risk Prediction Modelling: current state-of-play and future research" by Dr. Glen Martin
ProspecitveとRetrospective
縦断研究 Longitudinal study とは何かが議論になった。
縦断研究 は"アウトカムを"複数回測定した研究、すなわち追跡研究のことだと主張されたが、一方で自分はアウトカムが1回でも曝露因子が複数回測定されていれば縦断研究だと主張した。
前者は、疾病の発症などを捉えるための定義であり、因果的解釈が前提にある。それに対して後者は、横断研究と縦断研究を対比させるものであり、横断研究でなければ縦断研究だ、と私は考えている。
疫学辞典 第5版 によれば、 longitudinal study は cohort studyと同一のようである。これによれば前者の定義であろう。一方で、後者の定義による記述も数多く見られる。たとえば INSTITUTE OF EPIDEMIOLOGY & HEALTH CARE, UCL には、次のように記述されている。
A longitudinal study is a research method that involves a sample of data being collected repeatedly for the same individuals over time, possibly for many years.
たとえば The English Longitudinal Study of Ageing (ELSA)という研究プロジェクトが存在しているが、なにか特定のアウトカムに言及しているわけでなく、繰り返し調査を行っているその形式から名付けられていることを踏まえれば、繰り返し調査に基づく研究=縦断研究 といえよう。すなわちこちらが広義の縦断研究であり、longitudinal study = cohort studyであるとする定義は狭義のそれといえる。
さらに踏み込んでいくと、縦断研究とは前向き(prospective)と後ろ向き(retrospective)に分類できるとされている。さらに、しかし、私自身はこの分類は好まない。特にretrospective cohort study という語などは無くなって良いと考えている。これはひとえに、prospective vs retrospectiveという単純なニ分法が大して意味をなさないものであって、異なる視点から研究デザインの整理が必要だと考えているからだ。
たしかにRothman のModern Epidemiology 第3版では以下のように書かれている。
Studies can be classified further as either prospecive or retrospective, although several definitions have been used for these terms. (Chapter 6, p 95)
しかし、第4版になってこの記述は消えている。代わりに挿入された記述は以下のようになっている。
Studies are often labeled as either prospective or retrospective, and these labels strongly connote the study quality. ~ Unfortunately, several definitions have been used for these terms, and only one of these definitons merits the strong connotation about design quality.
ここで言及されている定義は3つある。
1. prospective =(前向き)コホート研究とretrospective = ケースコントロール研究とする定義。これは最も単純であり、おそらく旧来の考えであり、そして
2. the timing of the accumulated person-time with respect to the study's conduct. 研究が計画・実施された時点で対象者の追跡が進んでいたらretrospective, そうでなければprospectiveとするものだ。
3. the order in time of the recording of exoposure information and the occurrence of disease. すなわち曝露因子の情報が記録された時点とアウトカム(疾病)発生時点の時間的順序性によって定めるもの。
第3の定義のみ、デザインのquality と直接的に対応付けることができる。
ケースコントロールデザインで、有疾患者に過去の曝露情報を想起してもらう場合、病気があることによって情報の正確さが変わる可能性が有る。すなわち、アウトカムの存在が曝露因子の情報(の質)に影響を与えるならば、retrospectiveと考える。
一方で、同様のケースであってもアウトカムが曝露因子に影響を受けない(にくい)こともある。たとえば糖尿病の診断が過去にカルテに記録されていて、急性心筋梗塞の診断を最近になって受けたケースだ。この場合、急性心筋梗塞を起こすよりも以前に糖尿病の診断は確定しており、情報の質は変わらないため、時間的順序性は保たれる。第3の定義によれば、これがprospectiveだ。
このとき、現在の時点で心筋梗塞と糖尿病の関連を見るためのケースコントロールデザインで研究計画を立てたとすると第1の定義でも第2の定義でもretrospectiveとなる。
ただし、注意しなければならないのは、最近の受診者だけ古いカルテが残っていたりするケースがあるならば、情報の入手のしやすさに影響があるかもしれない。
以上のように、縦断研究のなかでも、prospective/ retrospectiveという言葉は様々な場面、異なる文脈、それぞれ異なる定義がなされている。だからこそ、自分はこの二分法を好まない。さらに、第3の定義に基づけば、同じ研究内でもprospectiveな因子・retrospectiveな因子は同時に存在しうる。
すべきことは目の前の論文がprospectiveかretrospectiveかという不毛な議論をやめること、そしてアウトカムの測定が曝露因子の測定に影響を及ぼしているどうか、すなわち因果的な解釈をするときに強いバイアスが否定できるかを、解釈をしたい曝露因子とアウトカムの間で考察をすることだ。そして、これはデータがどのように取られているかについて前提知識が要求される。
観察疫学の研究報告のためのステートメント、STROBE statementでは、研究デザインを明示するように求めている。しかし、この点についても研究デザインをどう定義すべきか明確ではない。アップデートを期待したい。
臨床予測モデル(編集中)
臨床予測モデルとは
開発目的
予測ベース vs 説明ベース
どんな場面で使えるのか
方法
開発
評価
discrimination
calibration
internal validity
clinical utility
external validity
長期追跡はetiologyの説明に貢献するか
臨床予測モデルのメタ解析
臨床予測モデルをimplement した効果検証 RCT